帰国子女特別選抜

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

大学入学者選抜における「特別の選抜方法」のーつで,我が国の社会,経済,産業の国際化に伴い,海外に派遣される両親とともに海外に滞在し,現地で教育を受けて数年後帰国した生徒を対象とする大学入学者選抜をいう。
外国において高等学校段階の教育を受けた者の大学入学資格については,学校教育法施行規則第69条第1号に,外国において,学校教育における12年の課程を修了した者等として認められているが,これら帰国子女の我が国の大学への受入れについては,受けてきた教育が異なること,日本語の能力が十分でないことなどのため,通常の入学者選抜では合格が極めて難しいことから,これが社会的問題となっている。一方,これら生徒の外国語能力など外国における学習その他の体験等は,本人の特性を評価することはもとより国内では得られない貴重なものであり,これらに着目した学生の受入れは,大学の教育研究の活性化につながるとの観点もある。
このため,帰国子女などの入学志願者については,広く本人の能力・適性に応じた選抜がなされるよう特別の入学者選抜方法(学力検査の免除又は負担の軽減,面接小論文その他の組合せ)でこれを行うことが望ましいとされており(大学入学者選抜実施要項第1の2),実施する大学も順次増えている。
ただし,大学入学者の選抜に当たって,特別の選抜を行う場合には,一般の1年程度の留学生と区別するため,その出願資格に「外国において高等学校の最終学年を含めて2年以上継続して学校教育を受けていること。」などを条件として加えているところが大部分である。
なお,「帰国子女」と限定をしないで生徒の外国体験に着目し,「外国学校出身者」を対象に特別の選抜を行っている大学もある。