多肢選択

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

テスト(試験)の出題形式のーつ。設問に対して,誤答も含めた複数個からなる解答選択肢群が用意されており,受験者は正答に当たる解答選択肢を選んで解答するものである。このような出題形式だけからなるテストを多肢選択テストと呼ぶ。多肢選択テストは客観テストの出題形式のーつである。
多肢選択テストの利点は,採点の客観性が高く,しかも採点が容易で時間もかからなくてすむため,大量受験者の解答結果を処理するのに便利なことである。反面,あらかじめ解答選択肢群が設定されるため,作題者は設問ごとに用意された個々の解答選択肢の内容を,十分に吟味・検討しておかないと,受験者の自由な解答過程を必要以上に制約してしまうおそれが出てくる。
したがって,解答選択肢をいくつぐらい設定し,その内容をどのように表現すべきかが,最も重要な課題となる。正答選択肢と紛らわしい選択肢が幾つか含まれているものや,逆に正答選択肢があまりに明らかであるのものは望ましくなし・とされている。問題を作成する段階で,設問ごとに受験者の解答過程の様々な可能性を十分予測した上で,適切な解答選択肢群を工夫する努力がなされるべきて‘ある。例えば,実際の試験結果から受験者による各解答選択肢の選択率を計算できるので,この数字から解答選択肢の作り方の適否を反省して,出題の改善を図ることができる。良質の多肢選択テストを作成するには,このようにあらゆる角度から検討を加える必要性がある。