点数絶対主義

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

入学者選抜等において,学力検査(ペーパーテスト)のみを過度に信頼し,1点でも点数の高い方から機械的に順に入学者を決めていくことが公正であり,1点でも低い者が不合格になるのは当然である,という考え方。さらに,この得点をもって,その人のすべてを評価しようとする傾向が生じている。
臨時教育審議会(昭和60年6月第1次答申)において,「我が国の大学入学者選抜においては,学力検査の点数を重視し,その客観性と公正性に依存する傾向が強い。そのこと自体は理由のあることであるが,入学者選抜の改善を図るためには,人間を多面的に評価し,選抜の方法や基準の多様化,多元化を図らなければならない」と提言されている。
また,中央教育審議会(平成3年4月答申)においても,同様の指摘があり,特に点数絶対主義が公正だとする考え方について,「実はこの公正観が新しい不公正の始まりだということに,人は気が付いていない。」,「何が公正かについて,我々はもっと多元的尺度を取り入れ,今のような客観的性格さにこだわらなくて良し、方法を考察すべきである。」とした上,大学入学者選抜の改善策について,「評価尺度の多元化・複数化」が提起されている。