得点調整

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

試験結果の利用は,答案の採点結果として直接得られる素点を,そのまま用しるのが一般的である。しかし,同種の試験が複数回行われ,問題の難易度に大きな差があるような場合には,これらの結果を比較するときなど試験結果を利用するときに素点が必ずしも適切でないことがある。そのような場合に,素点に一定J)基準により人為的な処理を加えて,利用上より適切な評点を得る措置を,得点調整という。この際,この複数の試験の受験者が異なる場合には,平均点の差などが受験者集団の学力の差によるものか,問題の難易度の差によるものかを区別することが必要である。
アメリカでは,大学入学者選抜のための試験が年間数回行われ,その中のどれを受けてもよいことになっている。問題は毎回変わるから,問題の難易度の差を除去するため,問題の中に共通問題を点在させ,共通問題の得点から受験者の能力分布を推定し,共通問題以外の素点を調整して,調整点の分布が推定能力分布こ等しくなるようにしている。
大学入試センター試験については,各受験者の素点を調整することは,原則として行わないとしているが,本試験において,「社会」と「理科」の各選択科目間(「現代社会」及び「理科I」を除く。)に極端な素点の差(平均点で30点程度の差を目安とする。)が生じ,これが試験問題の難易差に基づくものと認められる場合には,例外的に得点調整の措置を行うことがあるとしている(大学入試センター試験実施要項11)。この場合,他教科の得点を総合した基準点の分布を科目ごとに求め,等百分位点法を用いて,各科目の調整点の分布が基準点の分布に一致するように,素点を調整点に変換する方法を用いることになっている。