最頻値

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

得点分布の重要な特性のーつである分布の位置を表す代表値のーつ。モード,並み数,流行値等とも呼ばれ,分布形が単峰性,つまり得点分布がーつの山を持つときにその山の頂点に対応する値として定義される。最も現れやすい値とも考えられ,直観的には理解し易い。ただし,得点分布が複数の山を持つような場合には,最頻値はあるーつの山を代表し得ても,分布全体を代表するとは必ずしも言えない。また,複数の山でその頂点の高さが同じ場合には,最頻値が複数得られることにもなる。このようなケースでの最頻値の利用には慎重を要する。
最頻値は平均中央値等とは異なり,分布の高さ(度数)に直接結び付いた指標である。また,分布の作り方つまり得点分布の場合,ある幅の得点をまとめて,この幅の中にいる受験生の数の和によって分布を作ることが多いが,この幅の取り方よって最頻値が変わる可能性がある点に注意が必要である。特に,少数の受験者を対象として分析するような場合には,度数分布に多くの凸凹が現れるのが普通である。このような場合には,まず適切な階級幅を設定して度数分布を滑らかに表現し,その上で最頻値を求めることが必要である。この場合,最も度数の高い階級の中点を最頻値とするのが普通である。例えば,階級幅4の度数分布で,80~84の度数が最も高ければ,(80+84)/2=82が最頻値となる。
最頻値は,得点分布の山の頂点の位置のみを問題とするため,少数の外れ値の影響を受けることはない。また,得点データのような数値データだけでなく,ある大学の入学者の出身県といった,分類データにも適用可能である。その場合には,度数の最も高い分類カテゴリーが最頻値となり,例えば,ある大学の入学者の出身県の最頻値はA県である等の定性的な表現ができる。