資格試験化
※本用語の解説は1992年に作成されたものです。
大学入試センター試験を資格試験にすべきであるという意見があるが,発言者によってその意味あいは多様であり,大きく次の三つに区分される。
①一定の得点を得た者だけに大学に入学する資格を与える,つまり,バ力口レア(フランス)のような純粋の資格試験にする。
②高等学校の基礎的な学習の達成度を評価するというこの試験のねらいを重視し,出題の程度をもっとやさしくする。
③各大学の合格者の決定に当たり,この試験の成績を「資格試験的」に扱う,つまり,大学入試センター試験の得点は1点きざみで合否判定に用いるのではなく,一定以上の得点を得た者だけを対象とし,それに対して別の資料を加えて評価をするなど幅をもって利用する。
①については,高等学校卒業をもって大学入学資格(入学志願資格)があるとする我が国の現在の学校制度との関係を検討する必要があり,また,これを実施しても,その有資格者の志望の偏りと大学の入学定員との関係を調整するための競争試験をなくすことは極めて困難といえる。
②については,受験者の現状からみて,平均点を60点程度に設定している現在の出題の水準が,試験の識別性というものにとらわれているために高過ぎるので,高等学校の学習の達成の程度を測定するという趣旨に沿うとすれば70点から80点程度を目標とすべきであるというものである。現在の制度では,大学入試センター試験と第2次試験の結果の総合評価を趣旨としており,また,大学入試センター試験のみによる選抜も行われており,ある一定の識別性は欠くことができない。
③については,この試験の趣旨はともかくとして,その得点が各大学の合否判定で1点を争うように使用されていることを指摘し,各大学での利用に当たっての工夫を求めているものである。最近は,国公立大学の受験機会の複数化に伴い後期試験において,大学入試センター試験の成績は,第1段階の選抜のみに利用している例もあり,これに該当するということができる。