分散

※本用語の解説は1992年に作成されたものです。

分布の重要な特性の・つである分布の散布度(ちらばり方)を表す指標。
分散は,各受験者得点と平均値との差(平均からの偏差)の二乗の平均値で,受験者数をN,k番目の受験者の得点をXk,平均値をxとすれば,


として与えられる。分布の中心位置を平均値によって代表し,各受験者の得点がその中心位置からどの程度離れているかに基づく指標で,その値が小さければ各受験者の得点は平均値のまわりに凝集し,大きければ平均値から拡散して分布していることを示す。ただし,分散は平均からの偏差の二乗に基づく指標であるため,その数値を直観的に理解するのは難しい。例えば,ある科目の得点を2倍すれば分散は4倍になる。そこで得点分布の分析では,通常,分散の平方根である標準偏差を用いることの方が多い。
なお分散の特性として,外れ値の影響を受けやすく,外れ値を含めるか否かでその値が大きく変わる可能性がある点に注意が必要である。したがって,分散を用いる際には得点分布に基づいて外れ値の有無を検討するとともに,妥当な理由があればその値を除いて算出する必要もあろう。